【私の名は】
「自転車の鍵落ちてませんでしたか?」
土曜日の午後、バイトの子が休みだったため店番をしていると、地元の中学生二人組がやってきた。
う~~ん、お届け物で預かってもないし、店内にもないな~。
「ありがとうございました」と言いながらも寂しげな後ろ姿。
店を閉め、所用のため車で走っていると先程の二人が自転車持ち上げて歩いてる。
今どきの自転車は、後輪をロックすると、ハンドルもロックされてされて盗難防止の二重策となっているらしい。
用事を済ませ、来た道を戻るとさっきの二人組がまだ歩いている。。。
思わず声かけてみた。
案の定、結局鍵が見つからず家まで自転車担いでいると。
「よかったらおじさんの車に自転車乗せて家まで送ろうか?」
子供たちは悩んでいる。
思わず私が思ったこと。
『もしかして怪しいおじさんの誘いに戸惑っているんでは・』
たしかにそう思っても仕方が無いなと思う。もしこの子たちの親だったら知らないおじさんの車に乗せてもらうなんて危ないから絶対にやめなさい!って言うだろうな~。
そんなこと、声かけておきながら『はっ!』と思い立ち、とっさに出た言葉が
「おじさん、モンパルナスで働いているの、ほら!さっきもお店にかぎ探しに来たでしょ。それにあれ、あの車にもモンパルナスって書いてあるでしょ。」
これがどうして私は怪しいものではありませんって証明になるのだと後から思ったのであるが。。。(゚_゚;)
「じゃ~すいませんよろしくお願いします。」
と小声で言ってくれた。
おっ!『モンパルナス』という名が信用を勝ち得た瞬間か!!
いや、違うな、、
ここから自宅までの距離を考えると相当つらいと判断した上でのことだったのかもしれないな。。
車でならわけない距離だが、ロックされた自転車を担いでの距離となれば話は別。
一人を荷台に自転車と子供1人を乗せ、もう1人には自転車で先導してもらい(もう1人の子は自転車自由に乗れる状態)、無事に自宅まで届けて二人と別れた。
二人ともすっごく感謝してくれた。
こちらも爽快な気持ち。
ふと車の中で思う。この子たちを通じて、小さな幸福の連鎖が続けばな~って。
えっ?私の名?
「私の名は・・・・・・」